ソーチェーンの種類と規格を知っておこう!

自身の作業や熟練度に応じてチェンソーの機能を最大限に発揮するには、チェンソーに合ったソーチェーンの種類を選ぶことがとても重要です。
しかし、ソーチェーンの種類や規格もさまざまで、どれを選んだら良いか迷うこともあるかもしれません。
ここでは、そんな時の為に知っておくと役に立つ、ソーチェーンの種類と規格について説明します。
ソーチェーンの種類と規格
適切なソーチェーンを選ぶ為には、まずソーチェーンを形成する要素と規格を知っておくと便利です。ここではその要素の1つであるカッター形状の詳細と規格について紹介します。
カッター形状
オレゴンでは大きく分けて、チッパー・セミチゼル・マイクロチゼル・シャンファー・チゼルの5種類があります。
・チッパー(通称:丸刃)
カッター全体が丸みを帯びたタイプです。
ソーチェーン発明当時の形に最も近いものであり、切れ味の持続性、目立て(ソーチェーンを研ぎ直す行為の意)の簡単さ共に最も優れています。
・マイクロチゼル(通称:半丸刃)
チッパーの特性を損なわない程度に、切れ味を向上させるように形状変更したタイプです。木材の切断面の毛羽立ちも少なく、日本の林業では多くのユーザーに好まれているメジャーな形状です。
・セミチゼル(通称:半角刃または半丸刃)
マイクロチゼルの切れ味をもう一段高める為に、切れ味が最も良いチゼル(後述)の形状に設計を寄せたタイプです。セミチゼルは、マイクロチゼルと次のシャンファーの中間となる形状なので、両者と混同されがちですが、ソーチェーンメーカーのオレゴンでははっきりと区分けしています。
・シャンファーチゼル(通称:半角刃)
セミチゼルとチゼルの中間になる形状と性能をしたタイプです。切れ味、目立ての簡単さ共にセミチゼルに近くも切れ味に優れています。シャンファーとは英語で「面取り」の意味で、その名のとおりチゼルの外角を面取りした形になっています。
・チゼル(通称:角刃)
はっきりと角が立った外角をしているタイプです。切れ味に特化した形状なので、他のタイプと比べると切れ味の持続性は低く、目立ても難しくなります。プロでもマイクロチゼルの使い易さと好みが分かれるので、切れ味が良いからと安易に使うことはお勧めしません。
規格
1.ピッチ
連続した3つのリベットの間の長さを2で割った数値をインチで表します。数値の大きい方から.404、3/8、.325、1/4のいずれかに当てはまります。基本的にチェンソーの排気量が大きいほどピッチも大きくなります。
2.ゲージ(ドライブリンクの厚み=バーの溝幅)
ドライブリンクの厚みをインチで表しています。大きいほうから.063(1.6㎜)、.058(1.5㎜)、.050(1.3㎜)、.043(1.1㎜)と表示されています。
3.ドライブリンク数(ソーチェーン1周のドライブリンクの数)
ソーチェーンの長さを測る単位で、ソーチェーンの構成部品であるドライブリンクの総数で表します。コマ数とも呼びます。
チェンソーのメーカーごとに使用するソーチェーンは違う?
国内で流通している主要なチェンソーメーカーは、国内・海外メーカー合わせて10社以上が挙げられます。
これらのメーカーごとに、使用するソーチェーンの種類は異なってくるのでしょうか。
ここでは、チェンソーとソーチェーンの組み合わせについて説明します。
ほとんどのメーカーでオレゴンのソーチェーンが使われている
チェンソーメーカーの選択肢は色々ですが、実はこれらのメーカーのチェンソーに装着されているのは、ほとんどがオレゴン製のソーチェーンです。
特に国内のメーカーのチェンソーには、十中八九オレゴン製のソーチェーンが使われています。
購入時点でオレゴン以外のソーチェーンが付属するチェンソーもありますが、交換時には同じ規格のオレゴン製のソーチェーンを使っても問題ありません。
したがって、いずれのメーカーのチェンソーを購入した場合も、交換時にはオレゴン製のソーチェーンを選択肢として考える機会は多くなるでしょう。
オレゴンソーチェーンの品番の見方
オレゴン製のすべてのソーチェーンには、それぞれ数字と記号を組み合わせた「品番」が付けられていますので、この品番の仕組みを知っておくと便利です。
たとえば、25AP-76Eという品番は、
・25がチェーンタイプ
・APがチェーン特性(カッター形状やバンパーの有無、カッターの数)
・76がドライブリンクの数(=ソーチェーンの長さ)
・Eがパッケージ種類
という組み合わせで成り立っています。
チェーンタイプの「25」などの数値は、ドライブリンクの足(ガイドバーの溝にはまる部分)に刻印されています。
ソーチェーンのカッターの数(並び方)の種類
標準のソーチェーンは、カッターとタイストラップ(カッターとドライブリンクをつなぐための部品)が交互に並んで構成されています。
カッターの並び方にも種類があり、標準・フルカッター・セミスキップ・スキップの4つがあります。
1.標準
カッターとタイストラップが交互に並ぶタイプ。国内で流通している大半のチェーンがこのタイプ。
2. フルカッタ-
カッター同士の間に、タイストラップが入らず、すべてがカッターになっているタイプ。「竹切り用」として流通していますが、カッターの個数が多いので彫刻作業、細い枝の処理にも向いています。
3.セミスキップ
標準のタイプから一定間隔でカッターの総数を減らしたタイプ。プロユーザーでもm級の長いバーを使う方や、中~大排気量まで共通のチェーンにまとめたい時などに選択肢となります。
4.スキップ
セミスキップから更にカッター数を減らし、コマ数あたりで標準の半数に減らしたタイプ。日頃から大径木を扱う特殊伐採業や、大排気量機+セミスキップの組み合わせでもパワー不足を感じる時に、更なる大排気量機との買い替えとは別の解決策となります。
セミスキップやスキップは、カッターの総数が少ないので目立て作業を軽減できるほか、木屑を排出しやすい、切削の抵抗が少ないなどのメリットがあります。その為、24インチ(70cm)以上のガイドバーを使用する際に選ぶと、その恩恵を実感しやすくなります。
ソーチェーンを選ぶ際は、チェンソーとの相性と、ソーチェーンの種類や規格を確認することが重要です。ぜひ、本記事を参考にしてみてください。
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