チェンソーの構造はどうなってる? 刃や各部の名前について解説

チェンソーの構造や特性を知って、適切に使用し必要に応じてメンテナンスをしていくと、チェンソーのパフォーマンスを最大に発揮しつつ、安全に使うことができます。
ここでは、知っておくと役に立つ、チェンソーの構造や各部の名前について説明します。
チェンソーの構造
チェンソーは様々な部品で構成されていますが、ここでは代表的な3つについて説明します。
エンジン
チェンソーでは、空冷2サイクル(2ストローク)エンジンが使われています。
このエンジンの特徴は、ピストンが1往復(往路+復路=2ストローク)する間にエンジンを作動させるのに必須の4工程(吸気・圧縮・点火・爆発)を全て行うことです。
自動車などで一般的に使われている4サイクルエンジンの場合は、この4つの工程をピストンが2往復(4ストローク)する間に行います。
2サイクルの方が、エンジンの部品点数も少なく構造も単純なので、軽量化、小型化、低コスト化が実現できます。また、1回の爆発でピストンを1往復(=クランクシャフトを1回転)させるわけなので、パワーや瞬発力に優れています。また、4サイクルエンジンは水平を維持しないとオイルが回らず焼き付きを起こすので、様々な体勢で使うチェンソーとは相性が悪いです。このような理由でチェンソーには2サイクルエンジンが採用されています。
2サイクルエンジンのデメリットは、4サイクルエンジンよりも排気ガスが多く、燃費が悪い点です。
また、2サイクルエンジンを扱う上での注意点は、燃料が潤滑油の役割も果たしていることです。そのため、燃料としてはガソリンとエンジンオイルを混ぜた混合ガソリンを使わなければなりません。ガソリンとエンジンオイルの割合は25:1や50:1など、エンジンオイルやチェンソーの機種によって定められていますので、適正な混合比率で使用しましょう。
ガイドバー
チェンソーのガイドバーは、細長く先端が半円形になった金属製のプレート部分で、チェンソー本体とソーチェーンを繋ぎ、ソーチェーンを一定の軌道に導くためのガイドの役割を担っています。
ガイドバーは、チェンソーの機種と排気量によって適合するサイズが定められており、通常、排気量が大きいほど、長いガイドバーが適用されます。
ガイドバーの種類は、構造の違いによってスプロケットノーズバーとハードノーズバーとに分けることが出来ます。また形状の違いによって、カービングバーがあり、大きくはこの3種類に分けられます。
スプロケットノーズバー
スプロケットノーズバーは3枚の金属板を張り合わせた構造です。
先端部分に組み込まれたスプロケットと呼ばれる歯車がソーチェーンを受け止め回転します。摩擦が少なく回転もスムーズで、汎用性の高いタイプのバーです。
一方で、薄い金属版を張り合わせてあるため、ハードノーズバーに比べて剛性が低く、変形やスプロケット部分の破損もしやすくなっています。また、バーの先端部はソーチェーンがやや浮き上がった状態で回転するため、チェーンが外れやすくなっています。そのため、ハードノーズバーに比べて、ソーチェーンの張りを強めに設定します。
ハードノーズバー
ハードノーズバーは1枚の金属板から作られているので構造がシンプルです。スプロケットノーズバーに比べて単純に部品点数が少ないので耐久性があるのが特徴です。
ただし、バーの先端部分はソーチェーンとバーが直接触れているので、その摩擦抵抗でエンジン出力のロスが発生し、ソーチェーンも摩耗します。そのため、スプロケットノーズタイプに比べて、ソーチェーンの張りを緩めに設定します。また、スプロケットノーズバーに比べて重量が重く、価格も高めです。
基本的な構造はハードノーズバーと同じで先端部分が細くなっているのがカービングバーです。繊細な作業に適しており、キックバックも起こりにくいのが特徴です。チェンソーカービング(チェンソーアート)や樹上伐採に利用されます。
ソーチェーン
ソーチェーンはチェンソーの刃の部分のことで、4つの規格で構成されています。
チェーンタイプ(カッターの形状)
チッパー型(丸型丸刃)、セミチゼル型(半角型半角刃と半丸刃の中間)、マイクロチゼル型(半丸刃)、シャンファーチゼル(半角刃)、チゼル型(角型角刃)があります。チッパー型は切れ味が劣りますが、目立てがしやすく、チゼル型は切れ味が良いが目立てが難しいのが特徴です。セミチゼルとマイクロチゼル、シャンファーチゼルはその中間になります。
カッター(刃)の並び方には、カッターの並びが多い順にフルカッター、標準、セミスキップ、スキップの4種類あります。
ピッチ(連続した3つのリベットの間の長さを2で割った数値)
チェーンのサイズを決める単位で、大きいほうから .404、3/8、.325、1/4(単位はインチ)の4種類です。チェンソーが大きいほど、ピッチも大きくなります。
ゲージ(バーの溝幅、ドライブリンクの厚み)
大きいほうからインチで.063(1.6㎜)、.058(1.5㎜)、.050(1.3㎜)、.043(1.1㎜)の4種類です。
ドライブリンク数(ソーチェーン1周のドライブリンクの数)
ソーチェーンの長さを測る単位で、ソーチェーンを1周するドライブリンクの総数で表します。コマ数とも呼びます。
ソーチェーンの各パーツの名称と役割
ソーチェーンは、カッター・ドライブリンク・タイストラップの3つのパーツを、リベットで連結して構成されています。
カッター
カッターは頂点から木材に食い込み、そこから上刃と横刃が同時に働きます。上刃はノミのように溝の底をすくい、横刃がのこぎりのように溝の側面を切りながら切り進める仕組みのパーツです。木材を削り取るとともに、前のカッターで切られた木屑を排出する役割も持っています。
ドライブリンク
スプロケットと連結するパーツで、チェンソー本体の動力を受け止める役割です。またドライブリンクの突起がガイドバーの溝を通ることでチェーンが外れることを防いでいると同時に、バーの中の切り屑を排出する役割も持っています。
タイストラップ
左右の1組のカッターの間隔を適切に保ち、ソーチェーンの切削効率のバランスを取る部品です。通常はドライブリンクを1つずつ挟み、右カッターと左カッターの間に1つ入り込みます。
ソーチェーンは修復不可能なまでに損傷してしまったり、寿命を迎えたら交換が可能です。切りづらくなったなど不具合が出た際は、ソーチェーンの交換を検討してみてください。
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