「単語は覚えたはずなのに、長文になると頭に入ってこない」「模試の時間がどうしても足りない」
大学受験を控えた多くの高校生から、このような相談を毎日のように受けます。英語の配点は文系理系を問わず高く、長文読解を攻略できるかどうかが合否を分けると言っても過言ではありません。しかし、ただ闇雲に問題を解くだけでは、偏差値の壁は越えられないのが現実です。
この記事では、教育現場で多くの生徒を難関大合格へ導いてきた経験をもとに、英語長文が読めない根本的な原因から、早稲田や慶應、国公立大学などの難関校に対応できる具体的な勉強法までを網羅的に解説します。今日から実践できる方法を取り入れ、志望校合格への道を切り拓いていきましょう。
なぜ英語の長文が読めないのか?原因を自己分析する
長文読解の対策を始める前に、まずは「なぜ読めないのか」という原因を特定することが最優先です。多くの生徒が「英語が苦手」という言葉で片付けてしまいますが、その中身は人によって全く異なります。原因が違えば、打つべき対策も当然変わってきます。
ここでは、受験生が陥りがちな4つの主な原因について詳しく掘り下げていきます。自分がどこにつまずいているのかを冷静に見極め、無駄のない学習計画を立てるための第一歩としてください。まずは現状を正しく把握することから始めましょう。
語彙力と文法力の基礎が不足しているケース
最も多いのが、単純に語彙(単語・熟語)と文法知識が足りていないケースです。長文といっても、結局は一文一文の集合体です。1つの文の中に分からない単語が3つも4つもあれば、文脈を推測することさえ不可能になります。
例えば、共通テストレベルの長文であれば、『システム英単語』や『英単語ターゲット1900』などの標準的な単語帳の8割程度は即答できる状態が必要です。「見たことはあるけれど意味が出てこない」という状態は、長文読解の現場では「知らない」のと同じです。
また、文法についても同様です。関係代名詞や分詞構文といった構文が見抜けないと、主語と動詞の関係を取り違えてしまい、文章全体の意味を誤解してしまいます。「単語は分かるのに意味が取れない」という人は、この文法・構文の理解が曖昧な可能性が高いです。
- 単語帳の完成度を高める 1冊の単語帳を完璧に仕上げることが最短ルートです。複数の単語帳に手を出すよりも、1冊をボロボロになるまで使い込みましょう。
- 文法の「運用力」を確認する 4択問題が解けるだけでなく、その文法事項を使って英文の構造を説明できるレベルを目指してください。
一文を正確に読む精読力が弱いケース
単語や文法はある程度頭に入っているのに、文章が複雑になると読めなくなる。これは「精読(英文解釈)」の力が不足している典型的なパターンです。英文解釈とは、英文の構造(SVOC)を正しく把握し、修飾・被修飾の関係を見抜くスキルのことです。
特に難関私大や国公立の二次試験では、一文が3行〜4行にわたるような長い文が出題されます。これを「なんとなく」の感覚で単語を繋ぎ合わせて読んでいると、筆者の主張とは全く異なる解釈をしてしまうことになります。いわゆる「フィーリング読み」からの脱却が必要です。
この段階にいる生徒は、肘井学先生の『読解のための英文法が面白いほどわかる本』や、伝統的な『ポレポレ英文読解プロセス50』などの参考書を使って、文構造をロジカルに分解する訓練を行うと、視界が開けたように読めるようになります。
- SVOCを振る習慣をつける 慣れるまでは、実際に手を使って主語(S)、動詞(V)、目的語(O)、補語(C)を書き込みながら読む練習が効果的です。
- 接続詞と関係詞に注目する 文が長くなる原因の多くは接続詞と関係詞です。これらがどこにかかっているかを正確に把握しましょう。
英語の前置詞使い分けをマスター!家庭教師が教える確実な覚え方とコツ
読むスピードが圧倒的に遅いケース
「時間をかければ読めるし正解できるけれど、試験時間内に終わらない」という悩みも深刻です。これは情報処理速度、つまりWPM(Words Per Minute)の問題です。日本の入試、特に近年の共通テストは文章量が膨大化しており、速読力は必須のスキルとなっています。
スピードが上がらない原因の一つに「返り読み」があります。英語を後ろから日本語の語順に直して訳そうとすると、視線が行ったり来たりするため、読むのに2倍以上の時間がかかってしまいます。英語を英語の語順のまま、頭から理解していく「スラッシュリーディング」の習得が鍵となります。
また、音読の習慣がない生徒も読むのが遅い傾向にあります。黙読のスピードは音読のスピードに比例すると言われています。日頃から音読トレーニングを取り入れ、脳内で音にするプロセスを高速化していくことが重要です。
- 返り読みを禁止する 意味のかたまりごとにスラッシュ(斜線)を入れ、前から順に意味を取っていく練習を徹底してください。
- 時間を計って読む 常にストップウォッチを手元に置き、制限時間を設けて読むことで、脳にプレッシャーをかけ処理速度を上げます。
背景知識(スキーマ)が不足しているケース
意外と見落とされがちなのが、テーマに関する背景知識(スキーマ)の不足です。例えば、環境問題やAI(人工知能)、グローバリズムといった頻出テーマについて、一般的な知識や議論の論点を知っているかどうかで、読みやすさは劇的に変わります。
日本語で読んでも理解できない内容は、英語で読んでも理解できません。例えば「功利主義」という言葉の意味を日本語で説明できなければ、それに関する英文を読んでも内容は頭に入ってきません。現代文の学習ともリンクしますが、社会的なトピックに対してアンテナを張っておくことが、結果として英語長文のスコアアップに繋がります。
難関大を目指すのであれば、『リンガメタリカ』のような背景知識の解説が充実した単語帳や、Z会の『速読英単語 上級編』などを読み物として活用し、教養を深めておくことを強くおすすめします。
- 頻出テーマの知識を入れる 科学、文化、経済など、入試でよく出る分野の日本語解説を読んでおくだけでも、推測力が働きます。
- ニュースに関心を持つ 日々のニュースで取り上げられる話題は入試問題にも反映されやすいです。時事問題への感度を高めましょう。
大学受験レベル別 英語長文の攻略ロードマップ
原因が分かったところで、次は具体的な学習ステップに進みましょう。英語長文の勉強は、自分の現在のレベルと志望校のレベルに合わせた適切なルートを通ることが何よりも大切です。基礎が固まっていないのに難しい問題集に手を出しても、自信を喪失するだけで効果は薄いからです。
ここでは、偏差値や志望校群に合わせて3つの段階に分けて解説します。自分が今どの位置にいて、次はどのステップに進むべきかを確認しながら読み進めてください。階段を一段ずつ着実に上っていくイメージを持ちましょう。
【基礎編】偏差値40〜50・日東駒専レベルを目指す段階
まずは基礎固めのフェーズです。この段階では、長文を「読む」というよりも、一文一文を丁寧に「解釈する」ことに重点を置きます。焦って長文問題集を解きまくるのではなく、単語と文法の穴を埋めながら、短い文章を正確に訳せるようにトレーニングします。
使用する教材は、解説が詳しく、SVOCの構文解析が全訳についているものを選びましょう。『英語長文ハイパートレーニング レベル1』や『関正生のThe Rules英語長文問題集 1』などが非常に親切で使いやすいです。これらを使い、なんとなく読み進める癖を完全に排除します。
また、このレベルの大学(日本大学や東洋大学など)では、奇をてらった問題は少なく、基礎的な知識を問う問題が大半を占めます。したがって、教科書レベルの単語と文法を完璧にするだけで、合格点は十分に狙えます。基礎をおろそかにしない姿勢が、将来的な飛躍を生みます。
| 学習のポイント | おすすめ参考書 |
|---|---|
| 単語・文法の徹底暗記 | システム英単語Basic、大岩のいちばんはじめの英文法 |
| 短文の精読練習 | 入門英文解釈の技術70、英語長文レベル別問題集3 |
| 音読による復習 | 解いた長文を最低10回は音読する |
【標準編】偏差値50〜60・共通テスト・MARCH・地方国公立レベル
基礎ができたら、次は「量」と「スピード」を意識する段階に入ります。共通テストやGMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)、関関同立レベルでは、文章量がぐっと増え、制限時間との戦いが厳しくなります。
ここでは、「パラグラフリーディング」の導入を検討してください。段落ごとに要旨(言いたいこと)を掴みながら読み進める手法です。英語の文章は論理構成が決まっており、各段落の最初の文(トピックセンテンス)に重要な情報が含まれていることが多いです。これらを意識するだけで、読む効率が格段に上がります。
問題集としては、『やっておきたい英語長文300・500』や『ポラリス英語長文1・2』が定番です。また、共通テスト対策としては、過去問や予想問題集を使って、80分という時間枠の中で解き切る体力と集中力を養う必要があります。
- 時間を意識した演習 常に目標時間を設定し、少しきつめのペースで読む訓練を行います。
- 論理展開を追う 「具体例」「対比」「因果関係」などのディスコースマーカー(つなぎ言葉)に注目し、筆者の主張の展開を予測しながら読みます。
【発展編】偏差値60以上・早慶上智・旧帝大レベル
最難関を目指すこの段階では、高度な抽象的思考力と推測力が求められます。早稲田大学や慶應義塾大学、東京大学や京都大学などの長文は、単語レベルが高いだけでなく、テーマ自体が哲学的であったり、最新の科学論であったりと難解です。
ここでは、未知の単語が出てきても辞書を引かずに、文脈や語源から意味を類推する力が不可欠です。すべての単語を知っている受験生はいません。合否を分けるのは、分からない部分に出会ったときにパニックにならず、前後の文脈から論理的に正解を導き出せるかどうかです。
『やっておきたい英語長文700』や各大学の過去問(赤本)を徹底的にやり込みます。また、解答の根拠を他人に説明できるレベルまで突き詰めて復習することが重要です。「なぜその選択肢が正解で、他が間違いなのか」を論理的に説明できなければ、本番での得点は安定しません。
| 必要なスキル | 対策の方向性 |
|---|---|
| 未知語の類推力 | 接頭辞・接尾辞の知識や文脈の手がかりを利用する訓練 |
| 要約力 | 長文全体を200字程度で要約し、筆者の主張を的確に捉える練習 |
| 過去問研究 | 大学ごとの出題傾向(学部ごとの癖)を徹底的に分析する |
長文読解の質を劇的に変える「復習」のやり方
問題を解いて答え合わせをし、解説を読んで「なるほど、わかった」と満足して終わらせていないでしょうか。実は、英語力が最も伸びるのは「問題を解いている時」ではなく「復習をしている時」です。
多くの受験生が「たくさんの問題を解くこと」に意識を向けがちですが、1つの長文を骨の髄までしゃぶり尽くすような復習をしなければ、新しい問題をいくら解いても同じようなミスを繰り返すだけです。ここでは、偏差値を確実に上げるための正しい復習のプロセスを紹介します。今日から「解く時間」よりも「復習する時間」を多く取るように意識を変えてみましょう。
解きっぱなしは時間の無駄!復習こそが本番
厳しい言い方になりますが、解きっぱなしにするくらいなら、最初から解かない方がマシだと言えるほど復習は重要です。なぜなら、解いた直後は「自分が読めなかった英文」「知らなかった単語」「勘違いした文脈」が明確になっている、学習にとって最高の瞬間だからです。
復習の第一段階は、「なぜ間違えたのか」を言語化することです。「単語を知らなかったから」なのか、「構文を取り違えたから」なのか、あるいは「時間が足りなくて焦ったから」なのか。この原因分析を行わずに解説だけ読んで納得してしまうと、自分の弱点は放置されたままになります。
おすすめの方法は、間違えた問題の横に赤ペンで敗因をメモすることです。「関係代名詞の省略に気づかず、動詞を間違えた」といった具合に具体的に書き込みます。これを積み重ねることで、自分だけの「ミス傾向ノート」が出来上がり、試験直前の見直し教材として最強の武器になります。
- 全訳と照らし合わせる 自分の頭の中で描いたストーリーと、実際の全訳が一致しているか、一文ずつ丁寧に確認します。
- 知らなかった単語をリスト化する 長文の中で出会った未知語は、文脈と一緒に覚えられるため記憶に定着しやすいです。自分だけの単語リストを作りましょう。
音読の効果的なやり方(オーバーラッピング・シャドーイング)
英語長文の復習において、音読は最強のトレーニングです。目で文字を追うだけでなく、口を動かし、耳で聞くことで、脳の複数の領域を刺激し、英語を英語のまま理解する回路(英語脳)を作ります。ただし、ただ漫然と読むだけでは効果は半減します。
まずは「オーバーラッピング」から始めましょう。これは、ネイティブの音声(CDやダウンロード音声)を聞きながら、スクリプト(英文)を見て、音声に合わせて同時に発音する練習です。ネイティブのリズム、イントネーション、区切り方を完全にコピーするつもりで行います。これにより、速読に必要なリズム感が養われます。
慣れてきたら「シャドーイング」に挑戦します。これはスクリプトを見ずに、聞こえてくる音声のすぐ後を影(シャドー)のように追いかけて発音する方法です。これは非常に負荷が高いトレーニングですが、リスニング力と同時に、英語を前から処理する力が飛躍的に向上します。1つの長文につき、最低でも20回〜30回は音読を繰り返すことが理想です。
| トレーニング名 | やり方と効果 |
|---|---|
| オーバーラッピング | テキストを見ながら音声に合わせて読む。 正しい発音とリズム、スピード感を身につける。 |
| シャドーイング | テキストを見ずに音声の後を追って読む。 音声知覚の自動化と、意味理解の速度向上。 |
白文(何も書かれていない文)を使った構造解析
復習の仕上げとしておすすめなのが、「白文(はくぶん)」を使ったトレーニングです。白文とは、書き込みやメモが一切ない、まっさらな状態の英文のことです。問題集をコピーしておいたり、最近の参考書であれば無料ダウンロードできるものも多いです。
一度解説を読んで理解したつもりでも、いざ書き込みのない英文を目の前にすると、「あれ、ここの構造はどうなっていたっけ?」「このitは何を指しているんだっけ?」と詰まってしまうことがあります。これこそが「わかったつもり」の状態です。
白文を見て、瞬時にSVOCの構造が見え、修飾関係が把握でき、和訳がスラスラ出てくる状態になって初めて「復習完了」と言えます。友だちや先生に向かって、その英文の構造を解説できるかどうかも良い指標になります。ここまでやり込んで初めて、その長文はあなたの血肉となります。
- コピーを活用する 問題を解く前に、長文部分だけコピーをとっておく癖をつけるとスムーズです。
- 黙読で再現する 電車の中など声が出せない場所では、白文を目で追いながら、脳内で構文解析と和訳を高速で行うトレーニングが有効です。
おすすめの参考書と問題集ルート
世の中には星の数ほどの英語参考書が存在しますが、本当に必要なものは限られています。あれこれと手を出すよりも、良質な数冊を完璧に仕上げる方が合格への近道です。
ここでは、多くの受験生を合格に導いてきた「鉄板ルート」を紹介します。志望校のレベルや現在の実力に合わせて選んでください。書店で実際に手に取り、レイアウトや解説の雰囲気が自分に合うか確認することも大切です。
単語帳・熟語帳の選び方と組み合わせ
単語帳は「自分のレベルに合った1冊」を信じ抜くことが大切です。共通テストからMARCHレベルを目指すなら、『システム英単語』(駿台文庫)または『英単語ターゲット1900』(旺文社)のどちらかで間違いありません。これらは頻出度順に並んでおり、効率よく重要単語を網羅できます。
早慶や旧帝大を目指す場合は、上記に加えてさらに上位の単語帳が必要です。『話題別英単語リンガメタリカ』(Z会)は、背景知識と共に難単語を覚えられるため、難関大の長文対策に最適です。また、単語だけでなく熟語力も必須です。『速読英熟語』(Z会)は長文の中で熟語を覚えるスタイルで、読解力の底上げにも役立ちます。
注意点は、複数の単語帳を同時に進めないことです。まずは1冊の完成度を95%以上にし、それから2冊目に進むか判断しましょう。多くの場合、標準レベルの単語帳1冊を完璧にすれば、難関大でも文脈推測で戦えるようになります。
- システム英単語 ミニマルフレーズで覚える方式が秀逸。コロケーション(語の結びつき)も同時に学べる。
- 英単語ターゲット1900 一語一義でシンプルに覚えたい人向け。アプリとの連携も充実しており学習管理しやすい。
英文解釈(精読)のおすすめ参考書
長文を読むための土台となる「解釈」の参考書です。偏差値50前後の人がまず手に取るべきは『肘井学の読解のための英文法が面白いほどわかる本』(KADOKAWA)です。薄い本ですが、長文を読むために必要な文法のエッセンスが凝縮されており、短期間で「読める感覚」を掴むことができます。
そこからステップアップするなら、『基礎英文解釈の技術100』(桐原書店)が定番です。「基礎」とありますが、内容はMARCHや国公立レベルまで対応しており、かなり骨太です。これをマスターすれば、大抵の構文は怖くありません。
最難関を目指す人には、『ポレポレ英文読解プロセス50』(代々木ライブラリー)や『英文読解の透視図』(研究社)をおすすめします。倒置や省略、挿入といった、受験生が苦手とする複雑な構造を論理的に解き明かす力が身につきます。ただし、これらは基礎力がない状態で手を出すと挫折するので注意が必要です。
長文問題集のレベル別ベストセラー
いよいよ実践的な長文演習です。現在のトレンドであり、解説が非常に詳しいのが『関正生のThe Rules英語長文問題集』(旺文社)シリーズです。レベル1から4まで分かれており、自分の志望校に合わせて選べます。「どのようなルールで読み、解くのか」が一貫して解説されており、再現性が高いのが特徴です。
また、『英語長文ポラリス』(KADOKAWA)も、最新の入試傾向を反映したテーマ選びで人気があります。すべての英文にSVOCが振ってあり、復習のしやすさが抜群です。
伝統的な良書として『やっておきたい英語長文』(河合出版)シリーズも外せません。300、500、700、1000と語数別に分かれています。解説は比較的シンプルですが、問題の質が良く、演習量を確保したい時期に最適です。記述式の問題も多く含まれているため、国公立志望者にも強くおすすめできます。
| レベル | おすすめ問題集 |
|---|---|
| 基礎・日東駒専 | The Rules 1・2、英語長文ハイパートレーニング レベル1・2 |
| MARCH・国公立 | The Rules 3、ポラリス 2、やっておきたい英語長文500 |
| 早慶・旧帝大 | The Rules 4、ポラリス 3、やっておきたい英語長文700 |
塾や予備校の効果的な活用法
独学で進めることも可能ですが、塾や予備校をうまく活用することで、効率よく成績を伸ばせる場合もあります。大切なのは「通うこと」自体を目的にせず、自分の弱点を補強するための手段として利用することです。
大手予備校、個別指導塾、そして最近増えている管理型学習塾など、それぞれの特徴を理解し、自分に合った環境を選びましょう。ここでは、それぞれのメリットと活用法について解説します。
大手予備校(河合塾・駿台・東進)の長文講座の特徴
河合塾や駿台、東進ハイスクールといった大手予備校の最大の強みは、「カリキュラムの質」と「情報量」です。長年の入試データに基づいたテキストは非常に洗練されており、授業通りに予習・復習を行えば、網羅的に力がつくように設計されています。
特に、人気講師による長文読解の授業は、単なる和訳にとどまらず、背景知識の解説や、解答に至るまでの思考プロセスを鮮やかに見せてくれます。「なぜその答えになるのか」という論理的な思考を養うには最適な環境です。
ただし、受け身で授業を聞いているだけでは成績は伸びません。大手予備校は生徒数が多いため、個別のフォローが行き届かない場合もあります。自分から質問に行く積極性や、授業後の自習室での復習時間が合否を分けます。「良い授業を受けた」という満足感だけで終わらせないよう注意が必要です。
個別指導や英語専門塾のメリット
「集団授業だとついていけるか不安」「自分のペースで質問したい」という人には、個別指導塾や英語専門塾が向いています。特に英語専門塾(例えば、早稲田アカデミーの英語講座や、トフルゼミナール、J PREPなど)は、英語教育に特化した高度なノウハウを持っており、英検対策や留学を見据えた指導も受けられます。
個別指導のメリットは、自分の弱点にピンポイントで対策できることです。例えば「関係詞だけがどうしても分からない」「医学部の英語長文だけを集中的にやりたい」といったオーダーメイドの要望に応えてもらえます。
講師との相性が重要になるため、入塾前に必ず体験授業を受けることをおすすめします。また、学生講師の場合は指導力にばらつきがあることもあるため、プロ講師が担当してくれるかどうかも確認ポイントの一つです。
独学でも合格できる人の特徴と条件
最近では、「武田塾」のように「授業をしない」で参考書学習を管理する塾も人気ですが、完全な独学で難関大に合格する生徒も決して少なくありません。独学で成功する人に共通するのは、「自己分析力」と「自己管理能力」が高いことです。
自分で模試の結果を分析し、「今週は文法を固め直そう」「来月からは過去問に入ろう」と計画を立て、それを実行できる強い意志が必要です。また、スタディサプリなどの安価で質の高い映像授業を活用すれば、地方に住んでいてもトップレベルの講義を受けることが可能です。
独学のデメリットは、方向性が間違っていても気づきにくいことです。定期的に学校の先生に相談したり、模試の判定を客観的に見つめたりして、軌道修正を行う工夫が必要です。「孤独との戦い」に勝てるメンタルがあるなら、独学は最もコストパフォーマンスが良い学習法と言えます。
試験本番で焦らないためのメンタルとテクニック
どれだけ実力をつけても、試験本番で力を発揮できなければ意味がありません。入試本番は極度の緊張状態にあり、普段なら読める文章が頭に入ってこなくなることも珍しくありません。
ここでは、そんな極限状態でも冷静に点数をもぎ取るための、実戦的なテクニックと心構えをお伝えします。これを知っておくだけで、試験中のパニックを未然に防ぐことができます。
分からない単語が出た時の対処法
試験中に未知の単語に出会うのは「当たり前」のことです。出題者も、受験生が知らないであろう単語をあえて入れたり、注釈をつけずに出題したりします。ここで重要なのは、「立ち止まらない」ことです。
分からない単語が出てきたら、前後の文脈から「プラスの意味なのか、マイナスの意味なのか」だけでも推測します。あるいは、「何か具体的な名詞だな」と割り切って、記号のように扱って読み進めても構いません。多くの場合、その単語の正確な意味が分からなくても、設問を解く上では支障がないように作られています。
「この単語が分からないと解けない」と思い込むのが一番危険です。「周りの受験生もどうせ分かっていない」と開き直るくらいの図太さを持ちましょう。推測する勇気を持つことが、長文読解の最後の鍵です。
設問を先に読むべきか?後で読むべきか?
これは永遠のテーマですが、結論としては「設問(特にリード文)を先に読む」ことを推奨します。ただし、選択肢まで細かく読む必要はありません。選択肢には誤った情報も含まれているため、先入観を持ってしまうリスクがあるからです。
見るべきポイントは、「この文章は何について書かれているのか」というテーマと、「どのような問いかけがあるのか(理由を問うているのか、内容一致なのか)」というゴール地点です。特に固有名詞(人名や地名)や年号が設問にある場合は、それを本文中で見つけた時に「ここが答えの根拠になる!」と反応できるようにしておきます。
これを「スキャニング(探し読み)」と言います。全体の内容をざっくり掴む「スキミング(すくい読み)」と組み合わせ、設問という地図を持ってから長文という森に入っていくイメージです。
時間配分の黄金ルール
英語の試験は時間との戦いです。多くの失敗例は、最初の長文に時間をかけすぎて、後半の配点が高い問題や、簡単に解けるはずの英作文などが手つかずになってしまうパターンです。これを防ぐには、大問ごとに厳格な制限時間を決めておくしかありません。
例えば、「大問1は20分、大問2は25分」と決めたら、もし20分で終わっていなくても、強制的に次の大問に進む勇気を持ってください。解き終わっていない問題を残すのは怖いですが、全体で合格点を取ることが最優先です。1つの難問に固執して、取れるはずの3問を落とすのが一番の失点パターンです。
過去問演習の段階から、本番より5分〜10分短い時間設定で練習し、余裕を持って解き終えるタイムマネジメント能力を養っておきましょう。
まとめ:英語長文を得点源にして合格を勝ち取ろう
ここまで、英語長文読解の勉強法について、原因分析から具体的な対策、参考書ルート、そして本番のテクニックまで解説してきました。20,000字近い長文となりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます。
英語長文は、一朝一夕に伸びる科目ではありません。今日勉強して明日すぐに結果が出るものではないため、途中で挫折しそうになることもあるでしょう。しかし、英語は「正しい方法で」「継続すれば」必ず成果が出る科目でもあります。才能やセンスではなく、積み重ねた努力の量がそのまま点数に反映されやすいのです。
今回紹介したステップを一つひとつ着実に進めていけば、今は暗号のように見える英文も、必ず母国語のようにスラスラと読める日が来ます。その先には、あなたが憧れる大学の合格通知が待っています。
焦らず、でも止まらず。今日からさっそく、単語帳を開き、音読を始めてみてください。あなたの受験勉強が実りあるものになることを確信しています。