共通テスト英語とは?その特徴と目的
共通テスト英語は、大学入学共通テストにおける主要科目の一つであり、近年大きく変化した出題形式が特徴です。単に英文の読解力を問うだけではなく、情報処理能力や思考力を重視した設問が増えています。従来のセンター試験とは異なる評価軸を持ち、受験生の柔軟な対応力が求められます。
センター試験との違い
共通テスト英語は、従来のセンター試験と比べて以下の点で違いがあります。
- リスニングとリーディングが完全に分離され、各100点配点
- 文法・語彙単体の出題が減少し、実用的な読解・聴解問題が中心
- 実生活や社会的文脈に即した資料読解や複数文書の比較問題が出題
これにより、単なる暗記では対応しきれず、実践的な英語力を育てる学習が必要です。
共通テストの英語の役割
共通テスト英語は、受験生の実用的な言語運用力を測ることを目的としています。リーディングでは複数情報の統合力、リスニングでは状況判断や推測力が求められます。
英語が求められる大学学部(国際系、経済、観光など)では、共通テストの英語配点が高く設定されていることも多いため、戦略的な対策が合否に直結します。
リスニングとリーディングの配点バランス
共通テスト英語の最大の特徴は、リスニングとリーディングが各100点で同等に扱われている点です。
- リーディング:時間は80分、問題数も多め
- リスニング:2回読みがある問題と1回読みの問題が混在
リスニングが苦手なままだと大きな失点に繋がる可能性が高いため、バランス良く学習する必要があります。
求められる英語力の変化
求められる英語力は、「読む・聞く」スキルを組み合わせて情報処理する力です。
- 辞書的知識より、読解と判断のスピード感
- 単語の意味だけでなく、文章全体の流れを把握
- 音声の聞き取りだけでなく、情報の整理力
英語をツールとして「使えるかどうか」が問われているのが共通テストの特長です。
共通テスト英語の大問構成(リーディング編)
共通テスト英語リーディングでは、文章の内容を的確に把握し、複数の情報源を整理する力が問われます。各大問はテーマ性が強く、受験生の読解力やスピード力を多面的に測っています。
全体の出題構成と時間配分
共通テスト英語(リーディング)の構成は以下の通りです。
【大問数】6題
【試験時間】80分
【配点】100点
各大問ごとの時間配分目安は以下のようになります。
| 大問 | 内容概要 | 時間配分目安(分) |
|---|---|---|
| 第1問 | お知らせ・掲示文の読み取り | 10分 |
| 第2問 | Eメールや手紙の読解 | 12分 |
| 第3問 | 掲示・案内文・レビューの読解 | 13分 |
| 第4問 | 資料比較やグラフ付きの読解 | 15分 |
| 第5問 | 長文(論理展開の読解) | 15分 |
| 第6問 | 長文(意見や主張の読解) | 15分 |
このように配分を意識し、時間管理が非常に重要になります。
大問ごとのテーマと特徴
各大問にはテーマが設定されており、出題形式も異なります。
- 第1問・第2問:実生活に即したやり取り
- 第3問・第4問:情報整理が必要な資料問題
- 第5問・第6問:論理的思考を必要とする長文問題
日常的な英語だけでなく、情報処理能力も同時に測られている点に注意が必要です。
設問形式と解き方のポイント
共通テストでは、選択肢の紛らわしさが特徴です。すべて読まずに設問を解こうとすると誤答しやすくなります。
- 設問文と選択肢を先に読み、目的を持って本文を読む
- 言い換え表現やつなぎ語に注目して、段落ごとの展開を把握
- 下線部の前後だけでなく文脈全体を見る癖をつける
こうした戦略的読解が正答率の差を生みます。
頻出語彙と読み取りスキル
共通テストでは、日常表現やビジネス英語の語彙も出題されます。加えて、読み取りスキルとして以下が求められます。
- スキャニング(情報を探す)
- スキミング(概要をつかむ)
- パラフレーズ(言い換え)の理解
これらは模試や過去問で練習することで、自然と身についていきます。
共通テスト英語の大問構成(リスニング編)
リスニングは近年その重要性が高まり、配点もリーディングと並ぶ100点になっています。音声のスピード、情報量ともに実用性が重視されており、しっかりとした対策が必要です。
音声問題の特徴と構成
リスニングは以下のような構成となっています。
- 第1〜第4問:2回読みの比較的易しい問題
- 第5〜第6問:1回読みの難易度が高い問題
2回読み問題では、最初に全体を把握し、2回目で細部を確認するのが基本です。
1回読み問題は、聞き逃すと挽回が難しいため、集中力とメモ取りの精度が試されます。
出題傾向と配点
近年の傾向として、図表や表の内容を踏まえた設問が増加しています。具体的な出題内容は以下の通りです。
- 会話の意図を問う問題
- 選択肢が似ている内容の区別問題
- イラストや予定表を元に答える設問
情報の要点を短時間で整理し、選択肢を素早く比較する力が鍵です。
スクリプトの読み方とメモの取り方
リスニング対策においては、スクリプト(音声原稿)の活用が非常に効果的です。
- 音声とスクリプトを照らし合わせて、聞き取れなかった箇所を明確にする
- 発音やリズムの癖を理解する
- 要点を簡潔にメモし、キーワード中心のメモ法を習得する
慣れれば、一度聞いた内容を記憶しながら選択肢を選べるようになります。
リスニング対策のコツ
効果的なリスニング対策としては、次のポイントが挙げられます。
- 毎日少しずつ聞く習慣をつける
- 速さを変えてトレーニング(1.2倍、1.5倍速)
- スクリプト暗唱やシャドーイングの活用
これらを継続することで、音声処理のスピードと正確性が向上します。
過去問分析から見る出題傾向の変化
共通テスト英語は、2021年の導入以降、毎年少しずつ出題形式に変化が見られます。特にリーディングでは実用性の高い資料が増加し、リスニングでは聞き取りの負荷が高くなっています。
2021年〜2024年の傾向比較
過去4年間の問題を比べると、以下のような変化が見られます。
- 2021年:試行的な要素が多く、比較的シンプルな構成
- 2022年:選択肢の難易度が上がり、時間配分に苦戦する受験生が増加
- 2023年:複数資料やグラフと文章の組み合わせが増加
- 2024年:設問文自体が長文化し、読解力だけでなく処理速度も重要に
このように、「情報処理型英語」の傾向が強まっていることがわかります。
変化した設問タイプの分析
変化の具体例としては、以下のような出題があります。
- 会話文や掲示を元に、図表を完成させる問題
- 意見文とレビューを比較し、立場を読み取る問題
- 選択肢の言い換えが複雑で、根拠を明確にしないと誤答しやすい問題
このように、単純な「内容一致」ではなく、因果関係や立場の読み取りが求められる形式が増えています。
時間管理の重要性
共通テストでは、問題量が多いため時間配分が極めて重要です。特にリーディングでは以下のような配分を意識しましょう。
- 第1〜第3問:短時間で確実に解答(25〜30分)
- 第4〜第6問:じっくりと読解し解答(50〜55分)
このように設計しておけば、焦らずに全問取り組める可能性が高まります。
共通点と相違点のまとめ
以下に、リーディングとリスニングの変化を表にまとめます。
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| 年度 | リーディングの傾向 | リスニングの傾向 |
|---|---|---|
| 2021年 | 実用的掲示文中心でやや易しめ | 会話文中心でテンポも遅め |
| 2022年 | 設問のひねりが強化 | 話者の数が増加 |
| 2023年 | 資料と複数文書の組み合わせ | 複雑な場面設定 |
| 2024年 | 推論系の設問が顕著に | 図表問題や1回読み中心に |
このように年度ごとに難化傾向があるため、最新の過去問を中心に対策を行いましょう。
共通テスト英語対策の実践法
共通テスト英語では、計画的かつ継続的な対策が必要です。日々の勉強から模試の活用まで、実力を伸ばすためのステップを押さえておきましょう。
毎日の学習計画の立て方
日々の学習は以下のようにバランス良く組み立てることが重要です。
- 月・水・金:リーディング中心(過去問・読解演習)
- 火・木:リスニング練習(音読・シャドーイング)
- 土・日:模試演習や復習、苦手分析
このように、無理のないリズムで英語力を底上げしていくことがカギになります。
模試の活用と復習方法
模試は単なる実力測定ではなく、復習で学びを最大化できます。
- 間違えた問題の「根拠」探し
- 時間内に解けなかった原因分析
- リスニングの聞き直し・スクリプト活用
これにより、次の模試や本番での再現性が高まります。
弱点克服の具体的ステップ
弱点に気づいたら、段階的に改善を図る学習が効果的です。
- リーディングが遅い → 1日1題「速読トレーニング」
- リスニングが苦手 → 聞き取り+書き取り+音読の3ステップ
- 設問理解に時間がかかる → 設問先読み+要点メモの練習
これらを実行することで、短期間でも着実に点数アップを狙えます。
英語学習アプリや教材の活用
効率的にスキルを高めるには、アプリや教材も活用しましょう。
- スタディサプリ(共通テスト対策コース)
- 共通テスト過去問アプリ(リスニング音源付き)
- NHKラジオ講座(基礎英語3・高校生からの英語講座)
これらは通学時間やすき間時間にも使えるため、日常的に英語に触れる環境が作れます。
よくある質問と受験生へのアドバイス
最後に、受験生がよく疑問に思うポイントを整理し、本番までの不安を少しでも解消できるようアドバイスをまとめました。
リスニングとリーディングの優先順位
「どちらを優先すべきか?」という質問は多くあります。結論から言えば、苦手な方を早めに着手し、得意な方は維持する戦略が最適です。
- リーディングが得意 → リスニングを重点的に鍛える
- リスニングが得意 → 読解スピードと論理力を鍛える
一方に偏った学習は、バランスを欠いた点数結果に繋がる可能性があります。
どの教材が最も効果的か?
最も効果的な教材は、以下のような条件を満たすものです。
- 共通テスト形式に準拠している
- 設問の難易度や語彙が本番レベル
- 音声が高品質でスクリプト付き
例:
- 「大学入試共通テスト英語 実戦問題集」
- 「河合塾・駿台・Z会の共通テスト模試過去問集」
これらを使えば、出題傾向への対応力が自然と身につきます。
直前期の過ごし方
直前期(12月〜本番)は、次のように取り組みましょう。
- 過去問演習+時間計測を週2回以上実施
- 苦手な形式を集中演習
- 生活リズムを入試本番に合わせる
この時期は、新しいことよりも復習重視で、得点の安定感を高めることが目的です。
緊張せずに本番に臨む方法
試験本番で緊張を抑えるには、以下のような工夫が役立ちます。
- 会場の雰囲気を模した環境で模試を行う
- 前日にやること・持ち物を明確に
- 「解ける問題から手を付ける」マインド
普段通りに力を発揮できるよう、ルーティンを整えることが最大の安心材料になります。