共通テスト英語が終わらない受験生が増えている
共通テストで「英語が終わらない」はよくある悩み
共通テストの英語で、「最後まで解き終わらなかった…」という声は、近年非常に多く聞かれるようになっています。これは、個人のスキルだけでなく、試験全体の傾向にも大きな要因があります。
共通テストの英語は、全体で読むべき語数が膨大です。センター試験時代よりも明らかに読解量が増加しており、文章の中に情報が散りばめられている設計になっています。そのため、読解スピードや処理能力が不足していると、途中で時間切れになってしまう可能性が高まります。
どれくらいの受験生が時間切れになるのか?
模試結果や現役生の体験談を分析すると、実に4〜5割の受験生が「時間が足りなかった」と感じていることが分かります。
特にリーディングでは、後半の設問にたどり着けないケースも多く、最後の2問が手付かずのまま終了するといった声も珍しくありません。時間感覚を掴んでおくことは、共通テスト英語において非常に重要です。
共通テスト英語の特徴と難化傾向
共通テスト英語には、次のような特徴があります:
- 設問数の多さと語数の多さ
- 実生活に近いテーマや形式(チラシ・メールなど)
- 複数情報を統合して答える問題
- 一問あたりの正解導出にかかる思考の深さ
これらにより、単なる「読み取り能力」だけでなく、素早く必要な情報を拾い上げる処理力が試される設計となっています。
教育現場の声とリアルな受験生の声
高校の進路指導担当や予備校講師も、「共通テスト英語は速読だけでは太刀打ちできない」と指摘します。
また、現役受験生の声では以下のようなものが聞かれます:
- 「読んでも読んでも終わらない」
- 「時間配分が分からなくて後半が全然解けなかった」
- 「設問の意図を読み取るのに時間がかかる」
このように、終わらない問題には、明確な構造的原因があるのです。
終わらない原因を分析:なぜ時間が足りなくなるのか?
問題文が長すぎる:リーディングの情報量が爆増
共通テストのリーディングでは、1,500語を超える文章が登場する設問も珍しくありません。これは、旧センター試験時代と比較するとおよそ1.3〜1.5倍の読解量になります。
この増加によって、内容理解と設問の対応に倍以上の時間が必要になるのです。長文化した文章では、全体構造を把握する力や、不要な情報を読み飛ばすスキルも求められます。
また、テーマが「旅行の日程」や「アプリの比較」など実用英語になっており、選択肢と文章の照合が一層複雑化している点も見逃せません。
問題形式が複雑で処理時間がかかる
共通テストの英語問題では、「正しい情報を複数の段落から拾い集めて結論を出す」形式が増加しています。
例として、以下のようなタイプの問題があります:
- Eメール文+回答文+チラシなどの複合素材
- 段落ごとに視点が異なる長文
- 内容一致問題で複数段階の読み取りが必要
こうした設問は、解答までの情報処理ステップが多く、結果的に時間がかかってしまうのです。
また、誤った選択肢が巧妙に紛れ込んでいるため、文章全体を理解しないと判断できないケースも増えています。
音声+読解のリスニングでの時間的圧迫
リスニングもまた、英語の「終わらなさ」に影響しています。
リスニングは設問の数が多く、1回きりしか聞けない問題も存在するため、集中力と速解力が同時に求められます。しかも問題の後半に進むほど、内容が抽象化し、聞き取りだけでなく内容理解力も試される仕様です。
リスニングに神経を使い過ぎてしまい、リーディングに入った時点ですでに疲れている、というのもよくある失敗パターンです。
英語に対する読解体力不足
そもそも、日常的に英語の長文を読む習慣がない場合、共通テストの文章量は過酷です。
読解体力とは、以下のような力を指します:
- 一定時間集中して英文を読み続けるスタミナ
- 意味の取りにくい文章でも立ち止まらず読み進める精神力
- 難語や構文に惑わされない読解スキル
この読解体力が不足していると、途中で集中力が切れてしまい、ペースダウン→時間切れという流れに陥りやすいのです。
共通テスト英語の時間配分と戦略
1問ごとの目安時間を把握しよう
共通テスト英語で最大の課題となるのが、時間感覚の欠如です。
リーディング試験の全体時間は80分ですが、設問数は30問を超えます。平均すると、1問あたり約2分〜2分30秒以内で処理しなければなりません。
この時間感覚を知っておくことで、ペースを守って進めることができます。以下は各大問ごとの時間目安の一例です:
大問番号 | 設問内容 | 目安時間(分) |
---|---|---|
第1問 | 表・掲示物の読解 | 10 |
第2問 | 複数情報の統合 | 12 |
第3問 | 意見や比較の読解 | 13 |
第4問 | Eメール・SNSの読解 | 15 |
第5問 | 長文の意見・要約問題 | 15 |
第6問 | 詳細な論理的読解問題 | 15 |
この時間配分を基準に、試験中の進行状況を確認しながら調整していきましょう。
時間がかかる問題を後回しにするテクニック
共通テストでは、全問を順番通りに解く必要はありません。むしろ、時間がかかる設問を飛ばす判断力が重要です。
以下のような問題は、時間が余ったときに戻ってくる方が得策です:
- 情報量が多く、選択肢も長い設問
- 意見の比較や要約のような、主観判断を伴う問題
- 明らかに内容が難解な設問
飛ばす判断をすることで、後半で時間が足りず解けないリスクを減らすことができます。
ただし、飛ばした問題の番号をしっかりチェックし、マークミスを防ぐ工夫も必要です。
先読み・設問読みの時短技術
問題文を読む前に、**設問と選択肢を先に確認する「設問読み」**は、非常に有効な時短テクニックです。
あらかじめ「何を探すべきか」が分かっていれば、文章全体を丁寧に読む必要がなくなります。
この手法は以下のような場面で効果的です:
- 情報の一致・不一致問題
- 複数段落の要点把握
- 語句の意味・言い換え問題
ただし、設問読みをするときは、選択肢に目を奪われすぎないことがポイントです。あくまで「読むべき箇所の予測」に留めましょう。
試験中に時間管理を意識する方法
試験中の時間管理で意識したいポイントは以下の3点です:
- 開始20分・40分・60分時点での進行状況を確認
- 難しい問題は潔くスキップ
- 解き直し時間を確保するため、10分前にはすべての問題にマーク済みの状態を目指す
特に「見直しに全く時間が残っていなかった」という受験生は多いので、10分間を“保険”として確保しておくことがスコア安定の鍵になります。
英語長文を速く正確に読む力をつける方法
スキャニングとスキミングの習得法
スキャニングとは、特定の情報をピンポイントで探す読み方です。たとえば数字や固有名詞などを素早く拾い上げるのに適しています。
一方、スキミングは全体の要点をざっくりと掴む読み方で、段落ごとの内容を理解するのに効果的です。
この2つのスキルを使い分けることで、全文を読む負担を減らし、正確に必要な情報を抽出できます。
練習方法としては:
- スキミング練習:30秒で段落要約を書く訓練
- スキャニング練習:設問から該当箇所を最短で探す訓練
これらを日々の学習に取り入れることで、処理スピードが格段に向上します。
語彙力を高めて処理スピードを上げる
共通テストの英文は難解な単語こそ少ないですが、日常的な英語語彙の豊富さが理解速度に直結します。
以下のようなカテゴリ別語彙の強化が効果的です:
- 学校・教育に関する語彙
- 日常生活・買い物・旅行関連語彙
- 意見・比較表現に関する語彙
単語帳での暗記に加えて、実際の文脈の中で語彙を確認することで、意味だけでなく使い方も自然に身につきます。
多読と精読のバランス練習法
読解力向上には、多読と精読のバランスが不可欠です。
- 多読:英文を「量」でこなしてスピードと耐性をつける
- 精読:難解な文章を文構造まで分析して理解力を高める
この両方を交互に行うことで、スピードと正確性の両立が可能になります。
具体的には:
- 平日は多読中心、週末に精読を取り入れる
- 難しい文章は訳すだけでなく、構文を意識して読む
といった計画が効果的です。
過去問演習で読解スピードを体に染み込ませる
最も効果的なのが、実際の共通テスト形式の過去問演習です。
本番形式で取り組むことで、以下の効果が得られます:
- 時間感覚を養う
- 自分の得意・不得意分野を把握する
- 出題傾向に慣れる
特に、制限時間を厳守する練習を繰り返すことで、自然と「解くスピード」が体に染みついていきます。
模試や過去問で実力を確認・調整しよう
模試で時間感覚を体に覚えさせる
模試は、本番のリハーサルとして最も有効な場です。時間配分や集中力を試す絶好の機会になります。
模試を受ける際のポイントは:
- 必ず時間内に解く
- 終了後すぐに復習する
- どの問題に時間がかかりすぎたかを記録する
こうした分析が、次回以降の戦略に役立つ自己データとなります。
復習で自分の弱点を把握する
模試や過去問の復習では、「どこで時間をロスしたか」に注目しましょう。
チェックポイント:
- 設問の読み違いはなかったか?
- 選択肢に迷いすぎて時間を消耗していないか?
- 飛ばすべき問題に執着していなかったか?
このような分析が、次回の戦略とトレーニング方法に直結します。
本番と同じ環境での演習のすすめ
演習は、できるだけ試験本番と同じ時間帯・制限時間・机の高さなどで実施することをおすすめします。
理由は、環境によって集中力やスピードが左右されることがあるからです。
例えば:
- 午後に解いていた英語を、実際の本番同様に午前に行ってみる
- 教室のような場所で行う
- スマホを遠ざける
こうした工夫によって、本番でのパフォーマンスの再現性が高まります。
時間切れでも「部分点」を狙う戦略も重要
万が一時間切れになりそうな場合でも、焦らず部分点が取れる問題に手をつけることが大切です。
例えば:
- 選択肢が明らかに不自然なものを削って推測する
- 選択肢の語尾に注目して文法的に判断する
- 「まったく読めていない問題」より、「7割理解できた問題」に集中する
このような戦略で、最後の1点でも多く積み重ねる姿勢が結果に直結します。
まとめ:共通テスト英語を最後まで解き切るために
合格に近づくためのポイント再確認
共通テスト英語で最後まで解き切るためには:
- 時間配分を知る
- 自分の得意不得意を把握する
- 読解スキルを段階的に強化する
という戦略的な学習姿勢が求められます。
「終わらない」は「戦略」と「練習」で変えられる
英語が「終わらない」のは、努力不足ではなく、対策の方向性がズレているだけかもしれません。
的確な練習+戦略的な実践=自信を持って本番に臨める準備になります。
今日から始めるべき学習アクション
まずは今日から、以下のアクションを始めてみましょう:
- 過去問1回分を時間を測って解く
- 設問読み・先読みの練習を取り入れる
- 英文読解の多読・精読バランスを整える
これらの積み重ねが、「英語が終わらない」不安を「英語が得点源」へと変えていきます。